アロマテラピーの歴史-近現代

18世紀後半から19世紀にかけて化学が発展すると、その進歩とともに人工の化学物質が用いられるようになりハーブ医学は衰退します。20世紀に入り精油が再び見直されるようになり「アロマテラピー」が登場します。1970年代にはいると香りが神経症やうつ病に効果があることが知られるようになります。

 

フランス人化学者で調香師のルネ・モーリス・ガットフォセは香料の研究を行っていました。作業室で実験中の爆発により両手と頭皮にやけどを負いましたが、ラベンダー精油の効能を思い出しやけどにかけたところ見事に治癒した経験から精油の治療効果の研究に没頭しました。アロマテラピーという言葉はガットフォセが1937年に出版した「Aromatherapie」(芳香療法)が最初です。

 

アロマテラピーは第二次世界大戦の勃発で下火になりましたが、フランスの軍医ジャン・バルネは1950年から53年に第一次インドシナ戦争中のトンキンで従軍した際、負傷した兵士を精油によって治療したくさんの臨床例を得ました。その後精油の治療特性について研究を重ね1964年に「Aromatherapie」を著し、医師や薬剤師へアロマテラピーの啓蒙につくしました。

 

イギリスではオーストリア出身の生化学者マルグリット・モーリーがインド・チベット・中国の伝統的医学・哲学を研究し、精油を植物油で希釈しマッサージを行う方法をあみだし、「Le Capital-Jeunesse」(生命と若さの秘密)を出版しました。精油と肉体のバランスを個人個人に適した処方で正常化するという考え方は後にホリスティック・アロマテラピーと呼ばれ、ロバート・ティスランド、シャーリー・プライスに引き継がれイギリスのアロマテラピーの主流となり、1960~80年代にスクールが多く開設され専門家の育成につながりました。

ホリスティックとは「全体的」「包括的」という意味で、身体のトラブルを部分ではなく心を含めた全身的なものとしてとらえ、精油の力を借りて心身の健康を取り戻すという考え方です。ティスランドはアロマテラピーを体系的な学問としてまとめ、1977年「The Art of Aromatherapy」(アロマテラピーの理論と実際)を著しました。

 

フランスでは先人達(ガットフォセ、ジャン・バルネ)が行ってきたことにより、メディカル・アロマテラピー(医療分野でのアロマテラピー)が主流で精油が医療に活かされ、医師の処方により内服もされています。

ベルギー・ドイツもメディカル・アロマテラピーが中心です。

イタリアでは1920年代にガッティーとカヨラが精油の治療効果・神経系への作用とスキンケアへの応用について共同で研究を行い、1970年代にはミラノの植物誘導体研究所のパオロ・ロベスティが地元産のオレンジ・ベルガモット・レモンなどの柑橘類から抽出した精油やその加工品がうつ病に効果があることを発見しました。

日本では鳥居鎭夫博士が香りの興奮作用や鎮静作用を研究し、アロマテラピーの学術研究の先駆者として高い評価を受けています。

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